オランダにある洪水博物館は、1953年に起きた洪水の被害や歴史、オランダの治水の歴史や水との戦いを展示しています。ゼーランド州Ouwerkerkにある洪水博物館へ実際に行った時の様子をまとめて掲載しています。
1953年にオランダで起きた洪水の歴史
- Watersnoodmuseum(オランダ語)
- Flood Museum(英語)
- 洪水博物館(日本語)
洪水博物館は、 1953年の洪水に関する全国知識および記憶センター (Nationaal Kennis- en Herinneringscentrum Watersnood 1953)で、1953年にオランダで起きた洪水の歴史が展示されている博物館です。1953年の洪水に関する被害、資料の展示、映像、その後の洪水対策の様子から、ゲームのように洪水を学べるコーナーまで、1953年の歴史を中心に、洪水に関する色々な展示がされていました。
1953年2月1日の大洪水
1953年2月1日、日本では馴染の無い日かもしれませんが、オランダの歴史の中では、忘れられない歴史的な日です。1953年1月31日から2月1日にかけて、オランダ南西部の大部分が洪水に見舞われました。100近くの堤防が決壊し200,000ヘクタールの土地が浸水、多くの家屋や建物が破壊され、 数千頭の動物が溺死したという大洪水。オランダで 1,835人が死亡したそうです。オランダなどで被害を受けたこの洪水North Sea flood of 1953は、日本では北海大洪水などと呼ばれています。
1953年の洪水被害を展示
博物館内には、1953年の洪水被害に関する沢山の展示があります。展示はオランダ語が多かったですが、英語訳がある展示も多くありました。
何時何分にどこに水が来たかと言うような展示。水没した箇所が分かりやすいです。
洪水当実、水の高さは部屋のこのあたり迄きたそう。暖炉がすっぽり水の中です。日本の津波被害を思い出しました。
当時の新聞のスクラップ。全てオランダ語ですが、当時の様子が見れる写真が多くあります。写真が結構リアルなので、トラウマがある人にはつらい内容かもしれません。
マルチメディアモニュメント「1835+1」
青色のインスタレーションがありました。大洪水の被害にあい、死亡された 1835人のお名前をみることができます。+1はどういう意味なのかと疑問に思ったのですが、1月31日の夜に生まれた赤ちゃんで、残念ながら見つからなかったそうです。まるで水の中に居る青色に照らされた空間の中、洪水被害に思いを馳せる時間となりました。
オランダ 水との戦い・治水の歴史
海抜ゼロメートル地帯が国土の奥を占める低地の国オランダの生活は、水とは切っても切れない関係にあります。
1953年の洪水や復興、デルタ計画、洪水リスク管理などオランダの水との戦いや、治水の歴史についても展示がありました。
堤防の修理に使用された機械が展示されていました。
デルタ計画についても展示。再建したオランダ、今後も水との戦いは続くのでしょう。
洪水の映像、日本のニュースも
洪水の映像を見る事が出来ました。映像はオランダ語で英語字幕がありました。リアルな洪水の映像もあり、津波被害の経験者などトラウマがある方にはおすすめしない内容です。日本の地震や津波被害の映像もありました。
ゲームをしながら洪水の知識!
オランダの博物館には、遊びながら遊べるコーナーが多くある印象です。洪水博物館にも色々ありました。
面白かったのがこのゲーム。砂の高さを利用して砂場に投影するプロジェクションマッピングです。砂を掘ると海になったり、砂を盛ると山になったりします。この砂場ゲームは何度か体験したことがあったのですが、砂を高くすれば、洪水から助かる!というゲームでした。家がある場所に水が届かないように、砂を高く、高く、高く!かなり高い場所には水が到達しない、そんな知識が自然と身に着きます。
ミュージアムショップではゼーランドのお土産も
ミュージアムショップには、1953年の洪水に関する本や、オランダの治水について、デルタ計画についてなどの本がたくさんある他、ミュージアムのグッズや、博物館があるゼーランド州のお土産も販売されていました。オランダお土産の中でも、ゼーランド州のお土産が色々買えるのでお勧めです。
ショップ内にもこんな楽しいゲームのようなコーナーが。
店内にアイスクリームなども販売されていたので、何でかなと思ったのですが、博物館の外に出て分かりました。かなり見通しが良く天気が良い日には気持ちが良い広場。入口とは別の場所が出口でした。強制的に散歩しながら、駐車場まで戻ります。途中ベンチもあったので、確かにアイスクリームでも買えばよかった(笑)
オランダの治水技術は歴史から
水の国オランダの高い治水技術は日本にも伝わっています。オランダ堰堤と呼ばれるオランダの技術を取り入れて建造されたダムがあったり、オランダ人技術者が残した堰堤があります。とはいえ、オランダの治水技術は1953年の大洪水のような被害があった上のものなのかなと、オランダの治水の歴史に触れる事が出来る有意義な博物館でした。
洪水博物館はゼーランド州という、アムステルダムやスキポール空港など観光で訪れる人が多い場所とはかなり遠い州にあり、その中でも周りに何もない辺鄙な場所にあります。 わざわざ訪れるのは少し大変、という場所なのですが訪れる価値のある場所でした。 オランダで1953年に起きた洪水の歴史や被害について知りたいなら、この博物館がおすすめです。
日本にも東日本大震災津波伝承館があると聞きました。当時の歴史を残し、多くの人が歴史に触れられ、未来の対策や被害防止について考える良い場所です。 津波がTSUNAMIと、英語やオランダ語でもそのまま使われるほど、洪水が身近にある日本人ならなおさら感じるものがあるかと思います。時間が取れればおすすめの場所です。
住所・場所
住所 5, Weg van de Buitenlandse Pers, 4305 RJ Ouwerkerk